千坪を超す自宅庭を、バラ園として開放してきた「安行庵」(川口市安行吉蔵306)は、今月いっぱいで終了します。

安行庵とは、市内屈指の旧家中山家のこと。当主中山育之さんの祖父や曽祖父の頃は正岡子規や高浜虚子ら文人と交友を持ち、同志からは“安行庵”と呼ばれていました。夏目漱石もここを訪れており、庭の一角には漱石の句碑が建ちます。

かつての安行庵は、広い庭に松や欅などを配した和風の屋敷でしたが、今から10数年前に数本を残して伐採。庭は、妻の純子さんが持つバラ栽培のノウハウを基にバラ園に作り変えました。バラ園は夫妻が手塩にかけて手入れをし、毎年見事な花が開花。バラ栽培や庭造りに関心のある人々が大勢訪れていました。

その安行庵は今、バラの見頃を迎えています。栽培するバラは数百種類と言われるほど多く、中山家は、下草とも呼ばれるバラとの相性が良い草花も一緒に栽培します。中には東日本大震災の原子力発電事故で被災した双葉町のばら園のバラもあり、今や川口市の名所とまで言われるほどのバラ屋敷ですが、この規模でのバラ園は今月いっぱいで終了します。「規模こそぐっと小さくはなりますが、別の魅力を持った庭を皆様と共に楽しんでいけたらと考えております」と話しています。

 

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