川口市の地形は台地と低地の二つから成る。台地は海抜20メートル弱の大宮台地鳩ヶ谷支台。北から南へと伸びる関東ローム層でできた台地であり、斜面には横穴を掘ることもできた。横穴は湿度が高く温暖なため、花室と呼んで開花時期の調整ができ、植木や切り花などの地域の産業を潤した。低地は、荒川と綾瀬川の二つの川沿いに広がる荒川低地と中川低地。はるか遠くまで水田が広がっていた。

その台地と低地の境を一目で見られる場所が、市内にはいくつかある。道の駅「川口・あんぎょう」を併設する樹里安からも見ることができ、安行台地と呼ぶ。裾野はイチリンソウが有名だ。そのイチリンソウの第一自生地に降りる坂は、「六兵衛坂」と呼ばれ、降り口には木材が整然と敷かれている。自生地に流れ込む水の調整と、歩行者の安全のために敷かれたものだが、木材はかつてあった芝川公園橋の廃材だ。欄干も再利用され、「芝川公園橋」と銘打ち、坂の降り口に記念柱として建つ。

自生地の北に割坂(かつざか)がある。やはりここにも廃材が使われた。有名な旧丸ビルの杭で、興禅院裏の土塁にも同時期に再利用された。残念だが、割坂、興禅院の土塁ともに、風雪に朽ちてしまった。

0