地図には道路や地形、施設など、その場所の事象を表す多くの地図記号が使われています。ところが、最近その記号の幾つかは使用されなくなりました。

例えば、桑を栽培する土地はアルファベットの「Y」の字の下部を、右側に少し突き出した形の地図記号で表されますが、最近、2万5千分の1地図からこの「桑畑」の記号が姿を消しました。

桑は、昆虫「蚕」の幼虫期のエサとなる植物です。蚕は、その桑の葉を大量に食べて成長し、やがて自分の口から吐き出した1本の生糸で自分の体を覆い、繭を作ります。絹は蚕の繭から取る繊維であるため、絹産業が盛んだった頃には多くの地域で広大な桑畑が見られました。その後、安い輸入生糸や化学繊維が増えたため、国内の養蚕業は次第に衰退。かつての桑畑は農作物の田畑などに転換され、地図記号が消滅するほど激減しました。

さて、葉っぱは蚕のエサになった桑ですが、初夏に実る「桑の実」はアントシアニンやビタミン、鉄分等たくさんの栄養素を含む立派な果実。川口自然公園(差間1355)側の、見沼用水東縁に沿って走る道路沿いは、栄養豊富な桑の実を付ける桑の木がたくさん茂る、知る人ぞ知る桑の実の宝庫。低い枝の実の多くは摘まれているものの、見上げる枝には赤黒い桑の実がびっしり。川沿いを歩いていて改めて知った川口自然公園の桑の木ですが、桑だけで小さな森をつくるほどの数があります。この時期、桑の実を求めて集まった小鳥たちが、にぎやかにさえずりながら啄んでいます。

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