古くから伝わる川口市の産業のひとつに、軟化蔬菜がある。ウドやショウガ、ボウフウ、木の芽などがその軟化物で、日光を遮って柔軟多汁にする。特にボウフウや木の芽は、川口の伝統ある軟化物であり、かつての神根村や大門村一帯が関東の主産地だったと記録に残る。現在ボウフウ栽培農家は木曽呂地域に多いが、それら生産者は栽培技術や種子、出荷方法等を代々受け継ぎ、さらには昭和初期に組織された武州軟化蔬菜出荷組合を維持する。ここから出荷される量は、京浜市場ではダントツのシェアを占めるそうだ。

ボウフウは根を軟化床で萌芽させ、日光を調整しながら葉を濃い緑色にし、茎は赤紫色に発色させて収穫する。その工程は家々によって特徴があるが、葉と茎の色の対比や、セリ科植物独特の香りが日本料理を引き立てる上に、殺菌効果や防腐作用等もあるといわれる。

主に料亭で重宝されるボウフウだが、薬効成分を利用して、「健酎たたら」なる焼酎が10余年前に作られた。市立差間小学校では、校章にデザインされた。収穫最盛期の春には、規格外がJA直売所等に並ぶこともある。

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