新郷送信所完成後の全景(東京中央放送局新郷放送所資料より)

川口市赤井3丁目の、地域のシンボルのごとく建つ鉄塔は、文化放送送信所である。鉄塔の下の斜面は市内屈指の桜の名所。見頃の4月には放送所の垣根が開門されて桜祭りが開催される。そのため多くの人々は桜見物の場所として認知するが、しかしそここそが川口の宝物「電波遺産」なる場所だ。

この鉄塔は、最初から文化放送送信所ではなく、NHKの送信所だった。昭和初期に建てられたもので、東京芝の愛宕山からはるばるこの地に移って来た。

当時の愛宕山での放送は、出力数が1キロワットだったため細々と営業されていた。1キロワットでの放送は聞こえる範囲があまりに狭いために、10キロワットという強力出力数での放送を必要とし、放送を始めるためにより高い場所が求められた。その地こそが、標高約20メートルの新郷村大字赤井台。現在の文化放送送信所が建つ赤井3丁目だ。放送所の建設は、大正14年から約4年の月日をかけて完成した。工事期間はあまりに長いために、周辺の人々には何ができるのかとだろうかと憶測をたくましくしたといわれる。

やがて工事は終わり、昭和3年に完成した建物は、送信用の鉄塔が2基と局舎、発電所、付属舎、舎宅などのほか、機械を冷やすための池なども造られたそうだ。畑や田んぼが広がる地に、当時の最先端の技術が集結して完成した「JOAK東京放送局・新郷放送所」。お披露目は、当時の逓信大臣のテープカットで開所した。

 

 

 

 

(Visited 70 times, 1 visits today)
0