市史には、私たちの祖先の生活体験や風俗等を後世に伝える貴重な資料「民俗編」がある。同編の「村のまつり」のくくりに「蛇造り」がある。悪病退散と豊作祈願を懸けて、安行原地域で続ける5月の伝統行事だ。

 実施日は毎年24日。当初は、ひと仕事終えた午後、ドラの音に似た合図で人々が集まる。彼らは安行原地域の向原、清水、半縄、中郷に住み、代々受け継ぐ蛇を造っておまつりする。

古木に代わるやぐらにのる大蛇の頭部分

 蛇は、藁を材料に造る。眼、耳、舌、あご、ひげほか8つほどのパーツごとに、前年作った蛇を参考に編む。編み上がった各パーツは、大蛇の形になるよう組み合わせていく。舌の先には、お札を結び付けるそうで、市史によるとその年の世情を反映する祈願文が描かれているとある。

 完成した蛇は、長さが10メートルもの大蛇。頭部は欅の木の股に据えられ、胴体はその欅の幹に巻き付けるような恰好で安置して一年のお祈りがされる。市の無形民俗文化財でもある。

 数年前、この大蛇を安置していた欅が切り倒された。長年活躍続けて来た欅の大木だったが、中心部が朽ちてしまったために倒れる恐れがあると判断された。大勢が見守る中を樹齢600年以上という大樹の一生を称え、丁寧に切り落とされたそうだ。現在は、若木が見事に育っており、大蛇の胴体部分は幹に絡ませ、頭は新たに作ったやぐらに据え置かれる。

 場所は安行原2680の1、JR川口駅東口からバス(22-2系統)に乗り、「原坂上」下車。バス停の目の前にある。JR東川口駅南口、SR戸塚安行駅、同新井宿駅からは、みんななかまバス「安行原交差点」下車5分。

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