初夏を感じるものは幾つかある。田植えが終わった田んぼから聞こえるカエルの合唱もその一つで、日が沈みあたりが暗くなるとその声が届く。声の主は、宅地化した川口の街の一角で稲作を営む農家の田んぼに顔を出すカエル達だ。毎年その声で初夏に入ったのだと思い季節の移ろいを楽しんでいる。

 初夏を感じるもう一つが幻想的な光を放つ蛍だ。5月の終わりから6月に入った頃に、水の中での暮らしを捨てた蛍の幼虫は陸に上がって草の根元などへ潜り込み、蛹から成虫へと神秘的な変体を行い、光を放ち始める。 

会員等が作った湧水の流れ

 蛍が観られるのは、イチリンソウで知られる安行台地の斜面林の一角。かつては台地から流れ出る湧水の周りには蛍が飛び交う環境があったそうで、その豊かな湧水の環境下に蛍を復活できたらと誰ともなく口をつき、蛍プロジェクトが始まった。取り組んだのは、「安行の歴史・文化を伝え、緑化産業の発展と緑豊かな環境づくりを目指す」活動を続けている安行みどりのまちづくり協議会(会長=小林進さん)である。斜面林の環境保全や管理活動を続ける中、見沼田んぼ付近で雌数匹をもらい受け、飼育が始まった。

 「思ったよりも手がかかり、いつの間にか`蛍一辺倒の生活‘になった」(同会記念誌より)という蛍の飼育は、朝な夕なの会員等の努力が実り、たくさんの幼虫が生まれた。翌年にはそれらを放つ場所として湧水の流れを整えた「蛍のせせらぎ」が完成し、放流された。増えた幼虫はその年の5月末にはたくさんの光を放つ成虫と化し、会員達を感動させた。毎年楽しませてくれる蛍だが、放流後は鳥などの餌になってしまい、年々成虫になる数が減ってきたことから、蛍は飼育箱ごと湧水の流れ近くに置かれている。

 会員等の賢明な努力に反して光を放つ成虫が激減したが、ホタル観賞は始まり、水曜・金曜・土曜の週3回、20時~21時は蛍ガイドもある。蚊よけとマスク着装をお忘れなく(蚊取り線香は蛍も死んでしまうため持ち込まないように)。

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